映画において「撮るな」という禁止はまともに機能しない_神戸映画資料館
映画時評 一年の十二本 藤井仁子(映画評論家)
第一回『これは映画ではない』
第一回 映画において「撮るな」という禁止はまともに機能しない
「撮るな」という禁止の命令ほど映画においてあてにならないものはない。いくら性交を撮るな、性器を撮るなといったところで、大島渚が『愛のコリーダ』で世間を騒がせるはるか以前から、誰も全貌を把握できないほど夥しい量のブルーフィルムが地下で流通していたことは周知の事実だし、婚前交渉を撮るな、犯罪者を魅力的に撮るな等々と、表現上の禁止項目を延々と羅列したハリウッドのプロダクション・コードでさえ、現場を委縮させるどころか、かえって洗練された、暗示的であるだけにいっそう過激な表現を生んでしまったことは映画史の常識といっていいだろう。
2012年7月31日
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